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インターネットヲチャーのブログ

インターネッツの片隅からつぶやきます

種類株式と投資契約(株主間契約)のお話


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何件かベンチャー企業のファイナンスについてご紹介しましたが、種類株式を活用したファイナンスが非常に増えてきているな、とブログを書いていても実感しています。

 

そこで、種類株式でできること、種類株式を活用する意図などについて、ざっくり調べてみました。

 

【種類株式とは】

私も知らなかったのですが、会社法上明確な定義はなく、

「種類株式とは、株式会社が、剰余金の配当その他の権利の内容(会社法第108条1項各号参照)が異なる2種類以上の株式を発行した場合、その各株式をいう。普通株式以外のものを指すこともある。」(wikipediaより転載)

 という理解となっているようです。

 

【種類株式でできること(会社方第108条第1項)】

ここでは、一部割愛して、ベンチャーファイナンスに関係ありそうな事項のみとします。法律の専門家ではないので、一部表現が適切でないかもしれませんが、ご容赦ください。

一  剰余金の配当

通常のベンチャー企業だと利益剰余金がないので配当を実施することはあまりないと思います。利益剰余金・現預金があり、かつ株式の大半を創業社長が持っている状況で配当を実施すると創業社長が会社からお金を抜ける可能性があるため、VC側の予防措置として設定していることが多いのでは、と思います。

「参加型」とブログ中で記載しているのは、優先的に投資金額のx%を種類株主に分配してなお、分配金がある場合に、普通株主と同じ条件で種類株主が配当を追加で受ける権利がある場合を指しています。

「累積」とブログ中で記載しているのは、上記x%の配当を実施しなかった場合に、翌年以降に繰り越して受け取る権利がある場合を指しています。配当目的のグロース投資以外では、通常「非累積」となるかと思います。

 

ランサーズさんにもはいってますね。

【2013年5月】ランサーズの時価総額は15億円?? - インターネット界隈のファイナンスを調べるを

 

二  残余財産の分配

一般的に設定されている条項です。

事業譲渡又は分割して、対価を受け取った器を清算⇒株主に分配したときに、種類株主が優先して分配を得られます。ただし、ベンチャー企業の買収は、株式譲渡が一般的です。

株式譲渡によるM&Aの場合、日本の会社法化では、優先して分配を受けることはできない(みなし清算とならない)ものと、個人的には理解しています。ただし、一部VCは株式譲渡時によるM&Aでもみなし清算として、優先分配を受けられると期待しています。今まで実例がないため、実現性については不透明です。

投資直後に会社を解散して、社長(大株主)がお金を抜くことを防止する意味合いもあります。

「参加型」とブログ内で記載しているのは、種類株主が優先分配を受けたのちになお、分配がある場合に、普通株主と同じ条件で種類株主が分配を追加で受ける権利がある場合を指しています。

 

かなり一般的な条項ですが、Rettyさんにも入ってます。

【2013年12月】実名グルメサービスのRettyの時価総額は15億円?? - インターネット界隈のファイナンスを調べるを

 

五  当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。

金銭対価取得請求権:金銭を対価とした種類株式の取得請求権が設定されている事例を見ることがあります。過去に利益を出していて、十分な分配可能金と現預金がないと機能しないのですが、上場はできないがそこそこ安定して利益が出ている企業(VCから見るとリビングデット)に対しては、有効な条項です。

普通株式への転換請求権:普通株式への転換時に条件をつけることができるため、将来うまくいかずにダウンラウンドの調達をしなくてはならないときに、株数を調整する条項をいれます。フルラチェット方式(自動的にダウンラウンドの株価に調整)とコンバージョンプライス方式(ダウンラウンドの株価と加重平均)があります。レイターステージである程度業績が見えやすい会社さんに関しては、業績連動で転換株価が変動するケースもあります。

 

六  当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

上場時には通常種類株式の普通株式への転換が要求されるため、それを見越した条項となります。

 

この後に取り上げた、Sansanには変わった内容で入ってます。

【2013年4月】Sansanの時価総額は45億円?? - インターネット界隈のファイナンスを調べるを

 

八  株主総会取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第478条第6項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの

この条項で、種類株主による拒否権を設定することができます。株主総会又は取締役会で決議すべき事項について何でも設定は可能ですが、業務に支障をきたす可能性もありますので、内容は十分吟味する必要があります。

 

クラウドワークスさんには定めがあります。

【2013年10月】クラウドワークスの時価総額は50億円?? - インターネット界隈のファイナンスを調べるを

 

九  当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること。

 例えば、普通株主総会で取締役2名、A種で1名、B種で1名など決めることができます。通常経営陣が普通株主、VCが種類株主ですので、実質的にVCの役員選任権となります。

 

【投資契約(株主間合意)との違いは】

以前は投資契約書で上記のような内容を取り決めるのが一般的でしたが、投資契約はあくまでも当事者間の合意であり、経営陣が株主総会や取締役会を掌握していれば、極論契約違反を承知で無理やり推し進めることが可能です。その場合、VCは投資契約違反で訴えることはできますが、時間もコストもかかり、結局回収も見込めないため、VCは泣き寝入りという事例が過去に多くあったようです。

種類株式の場合、登記事項は絶対なので、無理やり進めること自体ができなくなります。進めたところで無効とすることができます。

 

日本では、アメリカのようにMA時のみなし清算でExit時の回収可能性が大幅に高まる、というわけではないため、「種類株式にする」か、「株価を安くするか」であったら、多くのVCは後者を選択すると思います。

 

株価同様に、種類株式を選択するか、するとしたら内容はどうするか、も交渉の1条件に過ぎない、と思います。

 

うまく活用して経営陣・VC双方にとっての、落とし所を見つけるのが重要なのでしょう。

 

以上、番外編でした。結構間違いもありそうなので、適宜修正します。

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