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ベンチャーキャピタルのビジネスモデル


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彼を知り己を知れば百戦殆うからず

ということで、これから資本調達を検討される方は、VC(ベンチャーキャピタル)のビジネスモデルを理解することが重要かと思います。

今回は、ざっくりVCのビジネスモデルを見ていきたいと思います。

 

 <ベンチャーキャピタル概要>

一般的に、VCは投資事業有限責任組合ファンド)という箱を作って、業務執行者(GP=無限責任組合員)として、そこに出資者(LP=有限責任組合員)からの出資を募り、ファンド満期までにベンチャー企業への投資と回収を行い、出資者へ収益を分配する、という構造になっています。

DGインキュベーションさんのように本体投資のVCもありますが、ファンド形態をとる場合には必ずファンド満期」(通常7~10年)があります。

 

ファンド出資者の求めるリターン:

投資リターン、業界動向、事業提携先・買収候補先の探索、地域振興など多岐に渡りますが、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を除けば、ファンド出資者は複数になりますので、最大公約数として投資リターンを確保する(最低元本確保)ことは必須になります。(CVCは採算度外視という意味ではありませんが、優先順位が異なることもあります。)

 

<VCの収益源>

大きくは2つに分けられます。業務執行者としての収益、と出資者としての収益です。

■業務執行者としての収益:

 1. ファンド管理報酬

ファンドが存続する限り、一定(ファンド総額の2%~2.5%程度?)の管理報酬をファンドから受け取ります。ただし、よほど巨大なファンドでない限り、ファンド管理報酬だけで人件費をはじめとした販管費をまかなうことができません。したがって、下記成功報酬が重要となります。

 

 2. 成功報酬

ファンドが元本を超えた部分の20%程度を成功報酬として受け取ることができます。

 

■出資者としての収益(キャピタルゲイン):

VCもファンドに一定程度出資しますので、ファンドのパフォーマンスに応じて、リターンを得られます。

 

ex: ジャフコさんの2014年3月期の場合

 キャピタルゲイン:268億円

 管理報酬    :50億円

 成功報酬    :11億円

 売上高     :448億円

となっております。

 

<ファンド満期とファンドレイズ>

VCをビジネスとして捉えた場合、キャピタルゲインは外部環境に大きく影響を受けますので、ストック収益であるファンド管理報酬を大きくしたいと考えます。また、案件はタイミング次第ですので、いつでも投資できる体制を構築することが重要です。

そのため、ファンド満期が10年間だとしたら、はじめの5年程度で組入れは完了しますが、残りに期間は既存投資先への追加投資及びExitの模索を行いながら、次のファンドの募集を同時に行うことになります。

そうすることで、継続的に投資を実行する体制を構築し、ファンド管理報酬が重なることにより、収益も安定します。

ただし、組入れ期間が重なるファンド複数管理・運営する場合は、どのファンドから投資するか、同時に複数ファンドから投資する場合は割合はどうするか、等ルール設定が必要となります。いい案件であれば、どのファンドも投資したいと考えるためです。

 

<VCはリピータービジネス>

現在国内企業でVCファンドに出資している事業者はかなり限定的です。海外では年金資金が大量に流れてきておりますが、日本ではまだ時間がかかりそうです。

また、ファンドがクローズしないうちに、次のファンドレイズを行うため、出資者にリピートしてもらえるかが非常に重要です。

 

  • 出資者なくしては、VCは成り立たない
  • VCの顧客は出資者と投資先

 

<VCの目標リターン>

投資対象ステージなどによって大きく異なりますが、案件ごとにはIRR25%、あるいは投資倍率5倍は望めないと投資しにくいかと思います。理由は後述(※VCの打率)します。

 

もちろん競合環境や、組入れ進捗率、ファンドの損益状況などによって変わります。またIPO実績獲得のために、得をしなくとも、プレIPO企業に投資する場合もあります。

 

<VCの打率>

一般に2割がアベレージ、3割打てばイチロー、ですかね。

2割がIPOとした場合、残り8割の案件は元本割れ(あるいは二束三文)の方が多くなるかと思います。

したがって、2割の案件でファンドをリクープ(元本回収)することが求められ、上場した場合に5倍のリターンを期待できなくてはいけない計算となります。(実際は、ファンド管理報酬で20%程度頂くので、5倍以上となりますが。)

ただし、上場時の株価は市況に大きく影響され、組入れ期間のビンテージが、ファンドのパフォーマンスに大きく影響します。

 

<VCが避けなくてはならないこと>

  • 損をすること     :これは言わずもがなですが、既存ポートフォリオファンドリターンがある程度見えている場合は、案件単体の投資採算が危うい場合でもIPO実績を稼ぐためレイターステージに投資するということもあります。
  • 組入進捗が進まないこと:運用するためにお預かりしていますので、投資が進まないと大問題です。ファンドによっては一定期間で、一定の組み入れ進捗に達しない場合は、ファンドの減額というオプションもあるようです。
  • 利益相反と信用棄損  :出資者やファンド間の利益相反は命取りになりかねませんので、非常に重要です。

以上、ざっくりではありますが、とりあえずツラツラと書いてみました。

 

これから適宜加筆修正等かけていきます。