ベンチャーキャピタルはリスクをとっている?それとも目線が下がっている?
スポンサードリンク
ちょっと前に日経に以下のような記事が出ており、ベンチャーキャピタル業界の方がコメントされているのをお見かけしました。
リスク引き受けるVC、日本では「大変保守的」? :日本経済新聞
ただし、海外には日本のVCを批判する向きもあります。ベンチャーキャピタルの略語は「VC」ですが、日本のそれは「Very Conservative」(大変保守的)か「Very Cowardly」(大変弱虫)だと言うのです。
この記事自体にコメントする気はないのですが、足元ではベンチャーキャピタルはリスクをとっている部分と目線が下がっている部分と両方感じます。
私は
リスクをとっている = 株価のリスクをとっている
目線が下がっている = お金をお預けすべきでない先に預けている
と捉えています。
一口にベンチャーキャピタルと言っても、ファンドごとに千差万別で、同一ファンド内でもベンチャーキャピタリストごとに色がかなり出るので、あまり’ベンチャーキャピタルとは’と一般的に申し上げにくいですが、以下感じるところを書いてみました。
ベンチャーキャピタルはリスクをとっている
昔から聞かれるベンチャーキャピタルへの批判が、「日本のベンチャーキャピタルはリスクをとらない」というものです。
これは起業家からの誤った批判だと感じています。
ベンチャーキャピタリストはいい起業家がいれば、たとえ事業計画がなくても、お金をお預けしたいと思います。投資実行してからが勝負で、投資を行うこと自体は実は入り口に過ぎないのです。
ただ、投資実行に至る確立は100社訪問して1~2社程度で、ベンチャーキャピタリストから見ると、
-
お金をお預けできる起業家が少ない
-
お金をお預けしたいと思う起業家にベンチャーキャピタルが集中して株価がつりあがる、あるいは投資できない(選ばれない)
という感覚です。足元では起業家の母数も徐々に増え、同時にレベルも上がっているため、投資実効に至る可能性がもう少し高くなっていそうです。
一方で、全て誤った批判かというと、ベンチャーキャピタルの反省すべき点もあると思います。
それは、外部環境やファンドの状況によっては、全くリスクをとらない時期もあるからです。例えば、リーマンショックの直後などは資金供給が凍りつきました。また、一口に「リスク」と言っても、ファンドや個々人の色が強く出る商売ですので、リスク許容度も大きく異なります。
’ベンチャーキャピタル’は一括りにしにくい業界だと思います。
ベンチャーキャピタルは目線が下がっている?
特定のファンドや起業家をさして申し上げているわけではないのですが、これだけリスクマネーの需給のバランスが崩れると、2~3年前であれば投資を受けられなかった会社へも投資が実行される環境になってきていると感じます。
ファンドビジネスの性質上、継続して投資していかなくてはならないため、国内市場に限定すると、
-
株価のリスクをとるか
-
投資のハードルを下げるか
どちらか(あるいは両方を)選択せざるを得ない状況だと思います。
各々のファンドの活動を見ていると、明確に方針が分かれてきているイメージがあります。
結果は数年後にしか分かりませんが、投資のハードルを下げたベンチャーキャピタルの一部は数年後に撤退を余儀なくされそうな予感がします。
歴史は繰り返すのでしょうか。