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ベンチャーキャピタル業界の現状について


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前の記事で磯崎先生を持ち上げておいてなんなんですが、下記記事↓はポジショントークだと思います。

 

ベンチャーブームを支える3つのツール 【特別対談】郷治友孝×磯崎哲也(前篇)|起業のエクイティ・ファイナンス|ダイヤモンド・オンライン

 

種類株式推しはポジショントークに過ぎない

  • 種類株式だから株価を高くしてもいい、とベンチャーキャピタルは言わない
  • なぜなら株式譲渡時(M&A)は優先分配の対象外であり(現時点の会社法の理解では)、会社清算時(事業失敗)はそもそもほとんど回収見込みがなく優先分配は無意味
  • もちろん株式譲渡以外の形態(事業譲渡、会社分割など)でのM&A時には優先分配が有効に機能する、ただしベンチャー企業のM&Aで株式譲渡以外が選択されることはごく稀
  • 株式譲渡時の優先分配を実現するためには原則全株主の同意が必要(←間違えていたら教えてください。)
  • 種類株式推しは、ガバナンス強化の意味合いが大きい (過去に起業家とそれだけのトラブルがあったのは事実)

「起業のファイナンス」は入門書として素晴らしい書籍と思いますが、磯崎さんご自身がベンチャーキャピタリストの立場を取るようになったため、ポジショントークの可能性も考慮してあたらなくてはならない、と思います。

 

(追記)gumi国光さんのつぶやきに共感したので、勝手に貼り付けておきます。

国光 宏尚
日本からGoogleFacebookのような企業が出ないのと優先株を結びつけるのは流石に強引すぎるw M&Aの数とは関係性はあるだろうけど。Googleなどが出ないのは国内でしか戦えないガラパゴスベンチャーが多いから。 優先株が増えるのは良いと思うけど、投資家のダウンサイドリスク軽減のためは理解できるけど、アップサイドでの優先条項は絶対に反対。起業家にも投資家にもフェアな環境を作っていくことが重要。

 

ということが言いたかったわけでなく、最近取りざたされている、「ファンド規制」とベンチャーキャピタル業界の現状について書きたいと思います。

 

話題の「ファンド規制」とは

(下記記事より引用)

プロの適格機関投資家が一緒に出資していようが、それ以外の投資家による出資は原則としてそもそもできなくしてしまい、限定的に列挙された特別な類型の者たちにだけ、出資の勧誘を認めよう、というものです。

不合理なファンド規制がベンチャー生態系を破壊する 【特別対談】郷治友孝×磯崎哲也(後篇)|起業のエクイティ・ファイナンス|ダイヤモンド・オンライン

 

磯崎さんをはじめとするベンチャーキャピタリストの方々が連盟で出された意見書に賛成です。いまだ法人からファンド出資を得るのは簡単ではなく、応援の意味をこめてファンド出資してくれるエンジェル投資家なしでは、新たなベンチャーキャピタルは生まれないでしょう。ベンチャーキャピタル間での適度な競争環境と新陳代謝が必要だと思いますので。

 

(独立系ベンチャーキャピタリスト等有志の意見書)

http://www.tez.com/blog/wp-content/uploads/2014/06/68144efc0f4ebd247b95065534c82fe3.pdf

また、日本ベンチャーキャピタル協会からも意見書が出されております。

(日本ベンチャーキャピタル協会の意見書)

http://jvca.jp/news/JVCA20140612.pdf

 

客観的に見ると、既に金融庁から改正案が提出され、パブリックコメントを集めている状況では、諸々の調整は完了しており、これからひっくり返すのは非常に難易度が高い、と思います。

 

アベノミクスの下、国家戦略としてベンチャー支援が打ち出される中、ベンチャーキャピタル業界全体として追い風を活用するだけのロビー活動が十分でなかったのでしょう。

 

(2014/7/28追記:閣議決定ウルトラCで一旦中止となったようです。ことここに至るまで相当下準備を行っていたはずなので、担当者面目丸つぶれですね。ベンチャーキャピタル業界にとっては、いい意味でサプライズなニュースとなりそうです。今後も追っていきたいと思います。おかげさまでファンド規制に関する閣議決定は一旦中止になりました | isologue

 

ベンチャーキャピタルには業界団体がない

ベンチャーキャピタル業界には、統一の団体は1つもありません。

先に挙げた日本ベンチャーキャピタル協会という団体がありますが、業界最大手であるジャフコさんや、磯崎さんとともに連名で意見書を出された独立系ベンチャーキャピタルの方々は参加しておらず、十分に機能しているようには見えません。

 

今回が何度目のベンチャーブームか分かりませんが、ブームで終わらせないためには、業界としての意見を取りまとめる存在が必要なのではないか、と思います。

ベンチャー界隈やベンチャーキャピタルは非常に内輪な村社会に見えます。実際それでいいと思いますが、好き嫌いや人間関係の濃淡、利害関係抜きに新しい産業を創るための議論が行われる場もあっていいのかなと感じます。

 

これを機に、誰か団体を取りまとめてくれないかな (勝手な願望)

 

以上、つぶやきでした。